むかし付き合っていた彼女と、よくコンサートに出かけていました。彼女はある有名なロックバンドの大ファンで、マンションの部屋の中は、そのバンドのグッズがところせましと置いてありました。硬派なそのバンドはぼくも好きだったので、彼女につられて余計に好きになり、ふつうのホールのコンサート、スタジアムやドームツアー、そして毎年夏に恒例でやっていた、野外コンサートと、すべてのライブをいっしょに見に行っていました。コンサートなどのたくさんの人が集まるイベントでは、かならず女性のお手洗いが混雑します。会場はそれを見越して女性用トイレの数を増やしていますが、それでも毎回行列が出来ていて、コンサートのときは彼女は会場につくとすぐにお手洗いに行くようにしていました。
ある野外コンサートのときのこと。いつものように30分くらい前には自分たちの席のあたりについて、ぼくが荷物を見ていて、彼女はお手洗いへ行きました。すると、開演間近になっても彼女が戻ってきません。野外コンサートは、アリーナのように席の区分がしっかりしていないので、てっきり席を探して迷ってるんだと思い、ぼくは立ち上がってきょろきょろと彼女の姿を探しました。開演まであと5分を切って、会場がじわじわと盛り上がってきても、彼女の姿が見えません。
これは弱ったぞと、近くの係員に声をかけようか考えていたら、彼女が小走りに戻ってきました。「もうトイレが大大行列だったの、間に合ってよかったぁ」と彼女。仮設トイレの数が少なすぎたらしく、ほかにも並んでいて間に合わない女性客がおおぜいいたと話してくれました。それでもなんとか間に合ったのは、着いてすぐに行っていたからで、これからは野外コンサートのときはもっと早めに来なきゃだねとなりました。